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横浜地方裁判所 平成9年(む)341号 決定 1997年8月28日

主文

本件準抗告の申立てを棄却する。

理由

本件準抗告の申立ての趣旨及び理由は、要するに、平成九年八月二一日付けで被告人について勾留期間を更新した原裁判は、管轄移転の請求による訴訟手続停止中になされた違法、無効なものであるから、その取消を求めるというものと解される。

一件記録によれば、平成九年八月二一日横浜地方裁判所横須賀支部における頭書被告事件の第一回公判期日開廷の直前に被告人から「管轄移転申立書」と題する書面が提出され、同期日冒頭において、主任弁護人から公判手続の停止を求められたため、裁判所は検察官の意見を聞いた上、管轄移転の申立てに対する決定があるまで本件公判手続を停止する旨の決定をして閉廷したこと、その後同日中に令状担当裁判官によって本件勾留期間更新の裁判が行われ、同月二六日から勾留期間が更新されたことが認められる。

ところで、裁判所に係属する事件について管轄移転の請求があった場合に刑事訴訟規則六条によって停止しなければならない訴訟手続とは本案の訴訟手続であって、被告人の身柄に関する勾留期間更新手続はこれに含まれないことは明らかであるから、被告人について勾留期間を更新した原裁判に所論の違法はない。

よって、本件準抗告の申立ては理由がないので、刑事訴訟法四三二条、四二六条一項により主文のとおり決定する。

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